店主より


 カウンターごしに見える阿蘇海の水面が、やわらかな春の日差しを受けキラキラと輝く季節となりました。
 お店のまわりの田んぼは田植えに備えてあぜが整えられ、水が張られています。もうしばらくすると、冬眠から目覚めたカエルたちが合唱を始め、にぎやかな夜をすごすことになりそうです。

 天橋立の地にお店を構えさせていただいてから、早いもので15年目の春を迎えます。
 オープン当初から見守っていただいているお客様、業者の方々、漁師の皆様、地元の方々、そして、これまで雪舟庵に関わってくださったすべての方々に心より感謝申し上げます。これからも「毎日が修業」の気持ちを忘れず、より一層頑張っていきたいと思っております。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 今年の冬、たくさんのお客様に召し上がっていただいたブリしゃぶですが、春になると春の限定メニューのタイしゃぶにかわります。桜の季節に水揚げされる「桜ダイ」を使ったタイのしゃぶしゃぶで、さっぱりと梅肉で召し上がっていただくのが人気です。
 他にも春ならではの食材として、おどり喰いや玉子とじで召し上がっていただくイサザ、天ぷらが美味しい稚アユ(鮎の稚魚)、桜マスなどがございます。ふきのとうやこごみ、たらの芽といった山菜なども短い旬を迎えます。
 冬のイメージの強いフグも春に水揚げされるものがあり、こちらも春にちなんで「桜フグ」と呼びます。「春のフグはうまいけど毒が強いでー」と漁師さんがおどしてこられますが、なぜか漁師さんは皆さんピンピンしておられますね(笑)。正しくは「冬と同じようにうまいでー」なのだと思います。もちろん、フグの免許をもっている私が責任をもって調理いたしますので、ご安心して召し上がっていただけます。
 どうぞ「丹後の春のおいしいもの」をご存分にご賞味ください。

 4月23、24日には毎年恒例の一の宮、籠(この)神社でお祭りが執り行われます。
 私もこの地にお店を構えさせていただいた年から「府中祭り」には毎年参加させていただいております。地元出身の人間ではないので、見よう見まねで小さい太鼓を打たせていただいたり、(じゃまにならないように気をつけながら)ほそぼそとサポートに専念しております。
 お祭りがあったり、今年は特にGWが長くなったりと、4月、5月はお休みが変動的になりお客様にご迷惑をおかけする時があるかもしれません。あらかじめご了承いただけましたらありがたく存じます。

 穏やかな丹後の春はすぐに去ってしまいます。その後、丹後特有の長梅雨になり、やがてきびしい夏の暑さを迎えることになります。特に今年は冬に雪が少なく、山からの雪解け水があまりない状態だそうで、海に流れる水の量の変化もあり「こわい夏になりそう」と漁師さんが言っておられました。
 つかのまの、丹後の値千金の春を楽しみにぜひ遊びにいらして下さい。
 今しか味わうことのできない旬の食材をそろえて、皆様のお越しをスタッフ一同心よりお待ちしております。

――2019年、春





Copyright (C) 2005-2019 Sessyu-ann. All rights reserved.