店主より


 やわらかな春の日差しが阿蘇海をキラキラと照らし、新緑が日に日にまぶしくなりゆく季節となってきました。当店のまわりの田んぼには水がはられ、長く厳しい冬を土の中でじっと耐え過ごしたカエルや虫たちも地上へ出てきて、あたたかな太陽の光の下で活動し始めます。

 残念なことに新型コロナウイルス感染症の影響で、春祭りのお囃子が聴けない2度目の春となりましたが、自然界ではいつも通りに春がやって来ております。桜の花は見事に咲き、海や山で採れる食材もすっかり春の食材が揃うようになりました。この当たり前の生活が、実はとても有難く貴重なもののだと改めて気づかされ、すべての事、物に対して感謝する気持ちが強くなったように思います。

 春の旬の食材としては、桜の季節に水揚げされるタイやフグがありますが、これらを桜ダイ、桜フグと呼びます。桜ダイはと新ワカメと共に小鍋でさっとしゃぶしゃぶしてポン酢や梅肉のソースで召し上がっていただくのがおすすめです。毎年、近所のおばあちゃんが山へ上がり、門外不出の自分だけのポイントで摘み取ってきてくれるフキノトウ、コゴミ、ワラビなどの山菜も大好評で、天ぷらにしたり、おひたしにしたりしています。

 5月1日からは阿蘇海でのウナギ漁が解禁となります。
 実は私も数年前までは自分の仕掛けを10本程もっていて、小舟でポイントまで行き、エサを入れた仕掛けをしずめていたのですが……。どう言う訳か、知り合いの漁師さんの筒にはウナギが入るのに、私のところには入らないということが何度もあり、ついに「自分には漁師の才能はない……!」と気づかされてしまったのです。現在は本業の寿司、料理に集中しています。もちろん阿蘇海の天然のウナギはすばらしく美味しいので、本物の漁師さんの仕掛けに入った時にはわけていただくことにして、お客様に提供させていただけるようにしています。

 私は修業時代に和食だけではなく中華の職人さん、洋食の職人さんたちとも交流させていただいておりましたので、同じ食材に対しても色々な味つけや調理方法を教わり、味わい、アドバイスをいただいてきました。それを自分流にアレンジし、「オリジナル」の料理としてコースの中にとり入れたりする事ができるのは自分の財産です。今後も、さまざまなお客様のご要望やリクエストにも対応できるように、日々勉強もしていく所存です。

 これからの季節、気分転換に少しだけお出かけして、春の景色、食材を楽しまれるのはいかがでしょうか。
 皆様のお越しをスタッフ一同、心よりお待ちしております。

――2021年、春





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