店主より


 丹後にも春がやってきました。
 カウンター越しに見える阿蘇海の水面が春のやわらかな日差しを受けてきらきらと輝き、まわりの田んぼにも水がはられています。
 漁でもイワシがよく水揚げされており、食材でもタケノコ、山菜、野フキ等、春を感じさせるものが多く出ております。春に水揚げされる桜ダイをつかった鯛しゃぶも人気で、冬のブリに続き、春メニューとして取り入れております。玉子とじや踊り食いで召し上がっていただく白魚(イサザ)も短い旬を迎えています。

 5月1日から阿蘇海のウナギ漁が解禁となりますので、私も仕掛けを10本ほどですが入れる予定です。
 小舟でポイントまで行き、エサを入れた仕掛けの筒を沈めます。と書くと簡単そうなのですが、当地のウナギは口が肥えているので、呼び寄せるためのエサが重要でして、阿蘇海の天然岩ガキを使っております。ですから、まずはそのエサとなる岩ガキをとるところから始まります。
 また、5日ほどして引きあげると丸々と肥えたうなぎが……入っていたり、入っていなかったり(笑)(運任せなところもありまして、ポイントを間違えると、とても残念な結果を迎えます)
 天然ウナギは身も分厚く、旨いあぶらがたっぷりのっています。シンプルに、白焼きをわさび醤油で食べていただくのがおすすめです。
 プロの漁師ではありませんので、ご期待に沿えるほどの量をコンスタントに確保できるかどうかは分かりません。でもお一人でも多くのお客さまに召し上がっていただけるよう、頑張りたいと思います。

 時の経つのは早いもので、ここ日本三景・天橋立の地に店を構えさせていただいて、14回目の春を迎えます。
 オープンまでの間、さまざまな土地、いろいろなお店で修行をさせていただきました。また、和食だけでなく洋食、中華などの職人さんたちとも交流させていただいた事は、私にとって宝ものであり、大きな財産となっております。
 今でも献立に洋食や中華の食材を取り入れたり、味付けをしたりする時には、多方面での先輩、同期の職人さんたちに相談したり、アドバイスをもらったりと助けていただいております。基本、私は寿司職人なのですが、料理人として、引き出しはたくさん持っておいて損することはありません。さまざまなお客様のご要望やリクエストにお応えできるよう、日々勉強しております。
 ただ、中途半端はきらいな性格です。出来もしないものを「大丈夫です」と言って、未完成品をお客様に出すようなことはやりたくありません。「大将のこだわり」なんだと思って下さい。
 ですから、お客様の全てのご要望に答えられるわけではなく、時にはお断りをさせていただく場合もありますこと、ご理解いただけますと大変助かります。自分の出来る範囲で精一杯、お客様に喜んでいただけるよう、またお応えできるよう、今後も一層、精進してまいります。

 今の季節はお出かけにも最適です。当地の春の景色、食材を充分に満喫していただけるよう努めてまいりたいと思っております。
 皆様のお越しを、スタッフ一同、心よりお待ちしております。

――2018年、春





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