店主より


 毎年10月末に行われていて丹後の冬のはじまりを告げる「ふゆ花火」が、開催13年目にしてはじめて雨で中止になりました。今年の秋は、週末のたびに台風がやってきて、各地のさまざまなイベントが出来なくなったり、延期されたりして、慌しく過ぎ去ってしまったように思います。
 成相山からの風も一気に冷たくなりました。カウンター前の阿蘇海には今年もたくさんの渡り鳥がやってきて、丹後の冬の訪れを日に日に感じています。

 11月6日にはカニ漁が解禁となり、いつも以上に漁場・港も賑わっています。カニ漁に合わせて底引き漁も始まり、沖ギス、ノドグロなどもとれているようです。
 カニの水揚げされる量は、その日の海の具合によって変わります。ですからカニのお値段は、とれ具合によって変動しますし、需要や供給によっても左右されます。カニを提供させていただく店側としましては、安定した価格でお客様に召し上がっていただきたいものですが、花火や祭りといったイベント同様に、お天気や海の状態など、自然が相手のことですので、何とも言えないところが心苦しくもあります。
 例年、人気で常連のに方もご注文いただいているメニューが「冬の特別会席(カニ入り会席)」になります。こちらのコースでは、ひとまわり小ぶりのカニになりますが、活ガニをお一人様1杯使わせていただき、足の部分をさしもとシャブシャブ小なべで甲らの部分をみそ焼きに、つめ、はらの部分を焼きガニに使用します。カニ以外の料理は、地魚のつくり、焼きもの、カブラ蒸しなどをご提供させていただいております。
 これから日毎に成相風もきつく冷たくなり、海の水温もぐっと下がり、うまい脂ののった魚、身のつまったカニがたくさん水揚げされることと思います。

 成相山ではこの秋、成相本坂道という成相寺への旧参道が整備されました。「トレイルコース」として登山道を使って自分の足で一歩ずつ登り、お参りされる方も増えてきているようです。もちろん、自家用車や登山バス、ケーブルカーなどの乗り物もご利用いただけます。
 11月11日・12日には成相寺紅葉ライトアップとして、五重塔広場においてイベントも行なわれ、12日の夕刻からは全国でもめずらしいカニをはじめとする海の幸に感謝する「かに供養」が営まれます。当店も毎年、この供養には申し込み、お札をいただいて海の幸に感謝するとともに、カニもたくさん水揚げされ、たくさんのお客さまで冬の丹後がにぎわうようにとお参りしております。

 今年の冬は、雪景色を少しだけなら見たいとも思っておりますが、去年ほどの積雪にならないようにと祈る気持ちも大変強いです。というのもこの秋は、柿の実がたくさん実っている、カメムシが多い、カマキリが卵を産みつけている場所が地面より高い、などなど、地元で「雪がたくさん降る!」「大雪になる!」と言い伝えられている条件と申しますか、迷信(?)をすべてクリアしているのです……。
 少々やきもきしますが、残りわずかとなった短い丹後の秋を満喫し、すぐにやってくるであろう冬に備えて、心も体も万全の状態で迎えたいと思います。

 寒いですが、おいしい食材がたくさんいただける冬の丹後も良いものです。
 皆様のお越しをスタッフ一同心よりお待ちしております。

――2017年、冬の訪れに寄せて





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